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●『〈完訳〉シーク ―灼熱の恋―』E・M・ハル

●『〈完訳〉シーク ―灼熱の恋―』E・M・ハル(二見文庫)
 型破りな英国貴族の令嬢ダイアナは、付き添いもなしに砂漠を渡る旅に出かけた。その大自然に魅せられた彼女であったが、途中で砂漠の部族に囚われて、シークであるアーメドの愛人にされてしまう。("The Sheik" by E. M. Hull, 1921)



 シークものの原点という作品です。そうか、ハーレになんちゃってシークが多いのは、こういうことだったから?
 ルドルフ・ヴァレンチノ主演の映画が有名──といっても、私は見たことないのですが。
 わがままで世間知らずのお嬢様が、砂漠の民の長シークにさらわれ手篭めにされ、やがて愛を得る、というロマンスの王道物語です。「手篭め」から「愛」までをやたら端折っているようにも見えますが(^^;)、要はそれだけシンプルというお話。
 けっこう厚いので、読み終わるまで時間がかかるかと思ったのですが、そんなこともなく読みやすい。
 でも、ヒロインのキャラは今時いないわがままさ。私の苦手なタイプ。
「誰かに似てる……(-ω-)」と思って浮かんだのが、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ。でも、この時代にこういう強烈な個性を表に出せる女性って、必然的にこうならざるを得ないんだろうな、とも思いました。肉親の愛を知らずに育ち、自分の欠点もちゃんと自覚しているヒロインには気の強さと同時に、高い順応性がある。一度は自力で逃げようとするし(すぐつかまるけど)。
 女性への扱いの時代性については、論じるとロマンスから離れるのでカット。アラブ人についても、私自身がくわしくないからなあ。
 ただ、ハーレなど現代のシークものと比べると、表現がけっこう残酷で、過酷な環境下だというのがよくわかるし、ヒーローとヒロインの価値観の違いも明確。この作品では、ヒロインはすべてを捨ててヒーローについていくけれども、現代だともっと融通がきくからヒーローの方がヒロインに歩み寄るみたいな感じになるんだね。ここら辺も時代性なのかしら。面白いなあ。
 あと、彼女の家族が全然話にからんでこないので、ちょっとかわいそうだな(ヒロインがね)、と思いました(´・ω・`)。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル 二見文庫 ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
    萌え重視であるため、心の狭い感想ばかりです。やや上から目線でもあります。
    評価は★★★★★が満点、★★★が標準点クリア。
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