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●『船上の花嫁』デボラ・ヘイル

●『船上の花嫁』デボラ・ヘイル(ハーレクイン文庫)
 スコットランドの貧しい農家の娘ジェニーは、新大陸で成功したという同郷の男性と結婚するため、大西洋を渡る船に乗った。付き添いは、女性に対していつも冷たい態度を取るハリス・チザムだったが、長い船旅の間、次第に二人の関係は変わっていく。("The Bonny Bride" by Deborah Hale, 2000)



 忙しい状態が続いているので、少し時間がかかりました。
「いい」と感じるところと「ちょっと……」と首を傾げるところが入り交じっていた。全体的に見ると面白かったんだけど、どうもヒロインが気になって。
 前半はよかったのです。貧しさや過酷な労働から逃れたい一心で船に乗った彼女の気持ちはよくわかった。一生何の楽しみもなくこのままかもしれない、それなら見知らぬ土地へ行って顔見知り程度の男と結婚する方がなんぼかマシか、と誰でも考えるだろう。
 愛も金も知らなかったら、手っ取り早く金に行くよね(´・ω・`)。
 愛のない淋しさと経済的な疲弊のどっちがつらいか、というのは、現実ではなかなか断言しづらい(一番いいのは、信頼の上に成り立つ愛とほどほどのお金ではないかと)。ましてや、ヒロインは若く無学(読み書きもできなかった)で、ヒーローと出会ったことで初めて恋を知ったばかりの女の子。
 自分の生活から「逃げたい」としか考えてこなかった彼女は、

「婚約者ではなく、自分と結婚してほしい」

 と言うヒーローに恐れをなし、また逃げてしまう。そして、心配して追いかけるヒーローが無茶な旅を止めようとしても頑固に自分の意志を押し通す。結局、二人で旅することに。
 その道中もひどいけど、目的地に着いてからのヒーローに対する仕打ち(としか言いようのない行動)もまたひどい。船酔いを看病してくれたり、読み書きを教えてくれたり、自分のために命を賭けてくれた人なのに! 婚約者には遠慮して何も言えないくせにっ!
 そんなにお金に目が眩んだかっ(゚Д゚)ゴルァ!!
 ヒーローに貫一になれ!」と何度叫んだことか。けど、彼はヒロインを足蹴にはしない。
 でもまあ、お金は大切ですよ……。婚約者が優しく立派な人なら、ヒロインもそれなりに幸せになったはず。ところがこの婚約者、たちの悪いモラハラ男だったのよね(´・ω・`)。
 ヒロイン、彼の家に滞在するようになってすぐに気づいたらしいけど、ヒーローに背を向けてまで選んだ自分の決断に対して意地になってしまった(らしい。ここら辺ちょっと曖昧)。
 DVを受けている人特有の心理状態だとわかってはいても、目覚めるまでイライラしました。「デモデモダッテ」とウジウジするヒロインと、必死に彼女を助けようとして数々の困難を乗り越えるヒーローとの対比が……(´Д`;)。
 こんなにもがんばる、あるいはあきらめないヒーローはなかなかいない(個人的なツボ設定の人でもあるし)。
 彼も顔に傷があったり、幼い頃母親に捨てられたと思っていたりとトラウマがあるのですが、ヒロインと出会ったことで大きく成長する。そう考えると、ヒロインの傷の方が深かったんだろうね。子供らしい生活なんかきっと、一つもなかったんだろう(つД`)。

 ヒーローは珍しく赤毛らしいのですが、それで浮かんだ顔がイギリス王室のヘンリー王子だった。
 画像を見ると赤毛ってほどじゃなかったわ……。けど、何となくヒョロい雰囲気があるのに脱ぐとすごそうで、私のイメージには合ってる。お兄さんよりも好みだ(´Д`*)。
 それから、もしかしてウォルター・スコットの『アイヴァンホー』を読んでいるともっと楽しめるかもしれない。私は残念ながら未読なのですが。
(★★★☆)
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theme : ブックレビュー
genre : 小説・文学

tag : ヒストリカル ハーレクイン(文庫含む) ★★★☆

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    三原 白

    Author:三原 白
    本(主に海外ロマンス小説)の感想と、たまに映画の感想も書きます。ネタバレもありますので、ご注意ください。
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